羊草ーひつじぐさー

メロンのじかん


 そばにいるとき、じっと私のことを見つめるタロの、ぬれぬれとした目がいつもいとおしい。
 大きくてつぶらで黒々としていて、子供のころ近所で飼われていた牛の瞳を思い出す。

 これまで飼ったどんな犬とも、近所で出会うどんな犬とも、うちのタロは違う。
 って、みんな自分ちの犬のことをそう思っているんだろうけどね。




 「メロンとぼく」  まど みちお


 メロンがぼくの目をみつめつづける
 ぼくもメロンの目をみつめつづける
 しーんとして
 ふたりのじかんがひとつになって
 ごうごう ごうごう ながれる

 それはせかい一なかよしの
 ぼくたちふたりのことが
 いまただいま天のアルバムに
 のせられているとのだとおもえる
 じーんとしてくる

 メロンもなみだぐんでみえるが
 いぬのいのちのみじかいことなど
 しるはずもないのだ くびかかえて
 ぼくは力一ぱいだきしめてやる


 





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                              「メロンのじかん」 まどみちお  絵・広瀬 弦  理論社



 

 
by hituji-gusa | 2013-06-26 12:04 | 読書の時間