羊草ーひつじぐさー

赤いもの


 家に帰ると、テーブルの上で赤いものが二つ、世間話に花を咲かせていた。

 一つはぴかぴかして硬いやつ。
 一つはふわふわした軟らかいやつ。

 


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 近くに寄って聞き耳を立ててみると、どうも年寄くさい昔語りだ。 
 あのころはよかった、などとしきりに言っている。


 昔はたくさん食べられた。
 師走などは、口からあふれるほど食べたものだ。
 毎日会いに来てくれる人もいた。
 口に手を突っ込んだあと、ぱちぱちと手を合わせてくれる人もいた。

 年寄のことだから、おおげさな話だと思いながら聞いていたが、そうでもなかったのかもな。

 私もあんまり利用しなくなったな。
 口に手を突っ込んだあと、手を合わせたのは私の話か?プライバシーをべらべらしゃべらないで欲しいものだ。


 話は尽きないようだったが、ちょっと声をかけてみた。
 記念撮影を、と言うとよろこんで、これでも笑顔だそうです。

 



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 年賀状も失礼することにしたし、手紙もあまり書かなくなった。 
 当選を祈った懸賞葉書も、当たらなかった。
 古いポストだったので、腹の中のどこかでうっかりひっかかったままになっているんじゃないかと疑っていたのは私です。

 硬いほうはずいぶん昔にもらった貯金箱。
 軟らかいほうは、最近もらったぶんをいらないからと母がくれた。
 リモコンとかを立てておくものらしいけど、コシがなさすぎて使い物にならず、我が家ではぬいぐるみとして扱われている。

 




 


 
by hituji-gusa | 2013-07-29 13:55 | もの