羊草ーひつじぐさー

林の中の小さな図書館


 畦地梅太郎は版画家ですが、山歩きに関する画文集がいくつか出ていて、それがとても好きです。


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 春に出かけた旅先で、たまたま出会った畦地梅太郎。

 いつか、版画の常設がある場所を探していて、ネット上でたまたま見つけていたその場所が、泊まった旅館の系列で、散歩がてら行ける場所にあったのはとてもラッキーなことだった。
 それも着いてから知ったので、思わぬ贈り物をもらったような気分。



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 B・B・C長湯は、長期滞在型の宿泊施設。
 寝るためのお部屋と朝食を用意してくれる。

 そしてそこには、山岳図書を集めた図書館がある。
 林の中の小さな図書館。

 


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 私は本格的な登山を経験したことはなく、中国地方でいえば、夏の大山や蒜山縦走くらい。
 でも、どういうわけか山をテーマにした小説が昔から好きだったし、山岳図書と聞くとわくわくする。

 一歩一歩登る山道。
 苦しいのだけれどなぜか足は止まらず、先へ先へ行こうとする。
 大勢で行っても、歩いているときはひとり。
 歩きながらその「ひとり」が深まって、思考が落ちていく感覚。

 そういった感覚がなぜか親しくなつかしい。
 記憶として、自分の深いところに残っている感じがします。
 いつの、どこからやってきた記憶かはわからないけれど。


 畦地梅太郎の画文集は絶版になったものが多く、しかも図書館にも蔵書がない。
 旅から帰って、「せつなさの山」を古書で探して手に入れた。
 日々の合間合間に少しずつ開いて、楽しんでいます。

 朴訥な表現と、当時の風俗も見えて、やっぱりいいなぁと思う。
 作為はなく、思いつくことを思いつくままに書いているという感じ。
 タイトルにもなった「せつなさの山」は短い文章だけど、独り身の時、貧乏で、年の瀬にくる家賃の催促を逃れて友人宅に避難して仕事をしたり、お金がかからないよう山を歩いたりする話。
 きれいな山歩きの話ではないんです。
 




 
 
 




 

 
by hituji-gusa | 2014-04-17 10:50 | 読書の時間