羊草ーひつじぐさー

困ったひと


 「困ったひとだなぁ」

 そう言ってしまうとき、たいていはその「困ったひと」のことを愛おしいと思っているわけです。
 そして、そう言っているとき、たぶんちょっと幸せなのです。


 ある水族館のシノノメサカタザメは、「困ったひと」であります。

 他のいろんなお魚たちと、大きな水槽にいたんだけど、掃除をするダイバーに近づいてはいたずらを繰り返すことから、危険ザメを集めた水槽にお引越しさせられたのでした。
 シノノメサカタザメは実はサメの仲間ではなく、エイの仲間だそうな。
 でも、同じ水槽の中のサメに食べられることもなく、のんきに暮らしています。
 お口がでかくて、ひょうきんな風貌で、確かにサメっぽい迫力には欠けているのでありました。


 ある水族館のシノノメサカタザメも、「困ったひと」でありました。

 ある日のご飯どき、いつものように、アジやイカ、ワタリガニなどのご馳走をたいらげた後、水槽の底で動かなくなってしまったそうな。
 急遽、水槽に担架が設置され、そこに移されて内視鏡などで検査されるも、原因がわからず。
 そうこうしながら半日が経った夜中に、シノノメサカタザメがいきなり身をよじって吐き出したのは、ちっこいコクテンフグだったそうです。

 シノノメサカタザメは餌の時間に、たまたま近くを泳いでいたコクテンフグを、間違えて一緒に飲み込んでしまったのでした。
 そして毒にやられて痺れてしまったというわけです。
 その後、徐々に回復し、復活できて本当によかった。


 見た目も愛らしい、シノノメサカタザメ。
 そんなエピソードを聞いてしまうと、「困ったひと」指数が勝手に上昇してしまい、多分どこの水槽で出会っても、「困ったひとだなぁ」と言ってしまうんだろうな。

 どこかでまた出会いたい、シノノメサカタザメ。


 

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by hituji-gusa | 2016-07-09 18:23 | 日々のあれこれ