羊草ーひつじぐさー

カテゴリ:羊のこと( 39 )

自由な一枚の布



 モンゴルの駱駝の毛糸で、ちまちま編んでいた。

 長さに納得がいったところで、やっと編み上がりです。



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 縦140㎝、横75㎝(だいたいのところ)。

 シンプルなメリヤス編みの、一枚の布。

 編んだ布は、織った布よりも身に沿う感じが好き。
 このドレープ感が。




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 たっぷりした雰囲気に見えるけれど、案外軽い。

 肩に沿って羽織ると、ちょうど両手首までの長さになる。
 裾を輪にして袖のようにすると、いわゆるマーガレットとして着やすいとも思ったけれど、用途が限られるのでやめた。

 頭からかぶって、首で布をピンなどで止めてから脱いでみると、フード付きの大きなマフラーのようになる。

 アシンメトリーに、斜めに羽織ると形の変わったカーディガンのようでもあり。


 

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 この編みっぱなしのクルクルと、布の四隅のトンガリがアクセントになる。

 腰に巻いたらスカートのようで、しかも軽くて暖かい。

 一枚の布のままにしておく方が、あれこれ楽しめそうです。


 布が好きだ。

 布は楽しい。

 できれば布のままである方がいい。


 マフラーやショールを織る。
 そう思ったら、なんとなく機に向かえなくなった自分がいました。

 用途や目的、自分の予定や期限。
 そういったものを自分の中に持たないで、心も身体もぶらぶらしていたところ、やっと答えの一つが出たような。


 まあ、もとより作家でもないので、気にすることもなかったんですけど。
 なんだか、そういった「何者か」になれたらいいのかな、と思ったことも正直あった気がします。
 でも、私の「いい加減さ」は尋常でないことにも気がついて、人に迷惑をかけてしまうのが嫌で。
 でも、そこを愛さないと自分ではいられないことにもほとほと気がつきました。

 それを仕事だと思うと、手が止まってしまう自分がいて。
 楽しいと感じられないと、何事からも逃げ出したくなる自分がいて。

 自分のその「無責任」を愛さないと、もう何にも表現ができないと思うところまで、実は来てました。
 文章を書くことも、糸を作ることも、布を織ることも、家事も、誰かに会っておしゃべりをすることも、どこかに出かけて何かを感じることも。
 そういったことのすべてが私の中では「表現」の一つひとつと気がついて。

 どれかを特化したり、そういう区別ができないくらい、ひょっとすると私は、「私自身」を表現していきたいのかもしれない。
 そんなことも感じています。


 今、私はお勤めをする社会人でもないし、家庭人もほぼ卒業してぶらぶらしていますが。
 そんな私と楽しく過ごしたいと言ってくれる人たちが巷には結構いて、おかげさまで日常を、孤独とは無縁に過ごしています。
 もちろん、近くにいる人たちばかりではありません。
 なかなか会えない、大好きな人たちとの間にも、私はそういったものを感じています。

 例えば、ものを作る私が、それを通じて初めての人とご縁ができたとして。
 なんだかこの人と喋ってみたいな、と思われないようなら自分がつまらないな、と思ったのでした。
 ものを作る意味もないかもな、とも。

 それほど、私の表現するすべてのことが、私そのものを表現していたら、それが一番私が生きやすく楽しいのかな、と思ったのでした。
 うまく伝わるかなぁ。


 



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 次に、何をどうしたいかな、と思って、引っ張り出してきた糸がこれら。

 カセにしてあるのは、ショールにでも思って細く紡いでいた羊毛。
 帯のついたままの毛糸は、先日、横浜にプロレスを観に行った折、東京駅近辺にある「kitte」というビル内をウロウロしていて出会った、靴下編み用の細番手。

 素敵な毛糸屋さんがある!
 ワクワクして店内に吸い込まれたら、珍しい外国の毛糸の数々。
 この店は只者ではないな、と思ってよく見たら、日頃から憧れていた毛糸屋さん「MOORIT」の実店舗でした。
 なんと。




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 普段からなんとなく眺めていた、MOORITの書籍。
 心を自由にしていると、こういう楽しい偶然もいろいろやってくるなぁ、って。

 そんなこんなで、感じるままに、今日も明日も生きたいのです。







 
by hituji-gusa | 2016-10-05 13:08 | 羊のこと

夏の編み物


 夏の飲み物?と聞き違えてしまうほど馴染みのないこの感じ。
 こたつでアイス、とも違うこの感じ。

 実際、外気温が31℃を超えると、いかに室内が涼しくても手に取りたくないことが、日々の統計から分かった。
 




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 ちょい画像暗めで不本意ですが、紡績糸でショールを編んでいます。

 細番手の糸や細い棒針で、わざわざ大きなものを編むといった「非効率的」なことがなぜか好きだ。
 そして、いつ完成するのやらわからない。


 メリヤス編みでショールを編むと、一枚の布、といった織物の印象を持ちながら、縦糸と緯糸から生まれる織物よりも、羽織ったときに自然に肩に添う感じがする。
 端がクルンとする、編みっぱなしの感じも好きだ。

 この紡績糸は、原毛が中空なのか案外軽い。

 



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 モンゴルのなんとかさんから買った毛糸。
 ラクダが入っているとのことだったけど、いわゆるキャメルカラーではなくて、こげ茶に紫色が混じったような、好きな雰囲気の色だった。

 コーンに巻かれた糸の雰囲気が大好きだ。
 しかも㎏単位のドン!としたヤツに負けてしまう。

 「こんなに買ってどうする〜」と、耳元で何かが冷静に囁いても、「いやいや、まず編んで、それから同じも大きさのものを今度は織ってみたら、素材は同じだけど違う雰囲気のものができて面白いじゃん」と、私の中の何かが言い返す。
 そして、それがいつのことになるかについては、両者とも一切触れないのである。






 

 

 
by hituji-gusa | 2016-08-24 12:24 | 羊のこと

どんぐりの棒針



 唐突に編み物がしたくなって、とりあえず始めた。


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 紡いだ糸を、単糸のままメリヤスに編み進めている。
 たぶんマフラーになるんじゃないんだろうか。

 たぶん。





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 海や山でのコーミング(拾いもの集め)した美しいものをコーディネートして標本函にしたり、それらを生かして雑貨を作っている結城伸子さんの展示に行ってきた。

 昔から標本仕立てのものが好きだ。
 私の宝物は、石の標本函。
 石に限らず、海のもの山のもの、ドライフラワー、羊毛なんかもそうだけど、色・形・質感、自然の造形の美しさ、楽しさってたまらない。
 いろんな種類を集めて、ノートに貼ったり箱に入れたり。
 そういうものはいくら眺めていても飽きない。

 結城さんのこしらえた、どんぐりの棒針が気に入りました。
 細い糸で、小さなものを編みたい。
 色や質感いろいろなモチーフとかもいい。





 



by hituji-gusa | 2015-01-13 18:10 | 羊のこと

霜降り



 
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 グレーのチェビオット。
 霜降りが、いい感じ。

 細い紡績糸で何枚かショールを織ったところで気分転換。
 90㎝幅を織っているのですが、両腕をがっつり広げて奮闘中です。

 以前、服地用の糸にと追撚したところ、やりすぎてしまい、放置していた糸。
 小さな布の緯糸にしたら、縮絨後、ゴワゴワのおもしろ風になったので、今度は大きいサイズでお試し。
 というか、ちょうど大きい一枚の緯糸分の糸があったので。
 仕上がりが楽しみです。


 美しくたおやかな風情の紡績糸を織っていると、武骨な自然派が恋しくなる。
 残糸ならぬ、残羊毛を集めて、ケンプたっぷりの荒削りな雰囲気の太い糸を紡いでいます。
 アウターのブランケット、という雰囲気か。
 110㎝幅くらいまで織れるので、久しぶりに最大、行ってみよ~!なノリであります。




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by hituji-gusa | 2014-06-20 16:19 | 羊のこと

美しい道具


 織り、紡ぎの道具は、木を使ったものが多く、美しいし、使っていて心地よいです。

 何かを作るために自分の道具を持っていること。
 それで何かを生み出せること。

 うれしいなぁ。



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 白い経糸がしゅっとしてきれいだったので、パチリ。

 織りのシーンはなにかと美しい。





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 昨日の続きで、違う緯糸で二枚目のショール。
 タイアップを変えて、違う組織です。

 織っているとよくわからなかったけれど、写真にしたら、組織が浮かび上がって見えた。
 ちょっとした発見でした。

 








by hituji-gusa | 2014-06-06 22:21 | 羊のこと

やまぼうし




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 今年はどこへ行っても、やまぼうしが元気いっぱい。

 緑の葉に、白い花。
 その組み合わせが、とても爽やか。





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 紡績糸でショールを織っている。

 混色の黄色がきれいで、選んだ糸。
 経糸に白を合わせて、淡々とした黄色に。



 

 


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 実物はもう少し、黄色がかっているかな。

 織っていると、静かな気持ちになる色です。
 









by hituji-gusa | 2014-06-05 14:15 | 羊のこと

ぬくぬくし


 我が家では、暑苦しいことを「ぬくぬくし」と言ってみたりする。

 とはいえ、「ぬくぬくし」はもっぱら固有名詞のように使われていて、まあ、こやつのことを指しています。



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 ふわふわのぬくぬくし。



 夏に羊の仕事は辛くないですか?
 そんなことを聞かれますが、なぜか羊の仕事は「ぬくぬくし」くない。

 ここ数日、尋常じゃない熱気。
 じんわりと汗ばみながら、こういう色を織っているけど、「いいな」って思っています。
 「あったかそう」と思っても、今の暑さと感覚が一体化しない。
 汗をかきながら、寒さの中の心地よい暖かさを想像しています。

 人間の感覚って、不思議。


 

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by hituji-gusa | 2014-06-01 12:59 | 羊のこと

毛糸だまと毛だま




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 紡いだ糸のたま。
 麻とか、アジアのもっさり系の羊ども。

 こんなふうに、かわいくまとめてくれる手動の器械がある。
 その名も「まきまき」。







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 こちら毛だま。

 触ったら殺す、的なおしゃれな針が魅力的。
 植物園に生息。

 








by hituji-gusa | 2014-05-30 09:00 | 羊のこと

風通しのいい布




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 残糸をかき集めて、とりあえず布を織ろう。
 そんな感じで織った布を縮絨し、仕上げしました。

 初めて織ったころの、自由な気持ち。
 風通しがいいです。

 








 
by hituji-gusa | 2014-05-24 12:04 | 羊のこと

好き嫌い


 紡ぐことが好きな人がいる。
 織ることの方が好きな人がいる。

 織ることが好きな人のなかにも、織ることそのものよりも、整経が好きな人がいたり、機に経糸をかけることが好きな人がいたりする。 



 
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 ちなみに、私はこの作業が好きでない。

 すぐに面倒になって、立ったり座ったり、ちょっと掃除をしてみたり、お茶を飲んだり、タロをかまったりして逃げる。





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 が、こうなるとうっとりする。

 日頃の整理整頓は苦手だが、この整然とした感じが好きでたまらない。






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 んでもって、緯糸が加わると、さらに好きになる。

 ご飯を作るのがめんどうになる。






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 たろう氏はうるさい音が嫌いだが、この座繰機の音はいいらしい。
 歯車の音ががらがらごろごろと、回している方もうるさいのに、わざわざやってきて横になり、床に耳をつけて音を味わうなんて、よほど好きに違いない。

 ちなみに雷の音も平気なたろう氏。
 ごろごろフェチと呼ぶことにする。



 







by hituji-gusa | 2014-05-15 14:37 | 羊のこと